みなさんは「地球環境基金」という制度についてご存じでしょうか。
ここでは、今注目が集まってきている「地球環境基金」について、その概要や活用方法などを紹介していきます。
目次
1:地球環境基金とは
「地球環境基金」とは、一人ひとりが地球環境の為にできることを集めて大きな力に変えていくことを目的として活用される資金です。環境保全活動への支援を行い、環境保全に向けた国民的運動の展開を図る事を目的として1993年に創設されました。
地球環境基金での支援内容は、直接的に民間団体の環境保全活動へ資金の助けをする<助成事業>と、間接的に民間団体の基盤整備(調査研究、情報提供、研修など)を行うための<振興事業>の二本立て構造となっています。
1.1 地球環境基金のしくみ
「地球環境基金」の概要について理解したところで、実際にどういった仕組みなのかを見ていきましょう。
地球環境基金の基本的な仕組みは、国と民間、両方からの資金拠出に基づき基金を設け、その運用益等を民間団体(NGO・NPO)にて環境保全活動に使用して支援を行っていく流れとなっています。地球環境基金は、国の資金を使って民間の浄財も求めるという制度となっており、適正な運用に国が責任を持つことが必須とされています。
また2004年4月からは独立行政法人制度に基づいて発足した独立行政法人環境再生保全機構事業が承継されました。
1.2対象者
「地球環境基金」の制度の恩恵を受ける事が出来る対象者は、事業や個人、団体など様々です。過去事例を見ると「団体」と表現されている事が多いのですが、環境保全などの何かのテーマに対して活動を行っている団体はもちろん、企業の取り組みなどで何か新たな環境保全活動・事業を行う際にも制度を活用する事が出来ます。
2:地球環境基金の事業
概要がなんとなくつかめたものの、「結局何のための制度?」と感じてしまうのが正直なところではないでしょうか。ではここからは、実際この制度がどのように使われているのかについて見ていきましょう。
2.1環境保全活動サポート
大きなものとしては、開発途上地域の環境保全のための活動に関する取り組みが挙げられます。植林・野生生物保護などの実践活動や、市民参加によるリサイクル活動、緑化の実践や環境保全に関する調査研究などのサポートを行っています。
その他にも水辺の環境保全に関する清掃活動等に対する助成や、子どものための環境学習情報サイトの提供、国内に限らず、海外をフィールドにした活動サポートも実績があります。
2.2研修・講座
資金的な援助だけでなく、環境保護に関する事業を支援するための研修や講座の開催も行っている点が特徴です。
例えば、地球環境基金を活用した実施項目として挙げられている「環境NGO・NPO若手プロジェクトリーダーの育成支援」は、今後の環境保全活動を牽引する若手のプロジェクトリーダーの育成を支援する取り組みです。
企業等が、今後環境保全活動に継続的に取り組んでいくための若手人材の育成を行う事を支援するもので、研修の受講や必要な知識習得の機会の提供などがあります。
3:助成金の手続き方法
ではここからは、実際に「地球環境基金」から助成金を受けるための手順について見ていきましょう。
3.1募集の流れ
現状、原則として年に1回(活動実施年度の前年度中)公募により募集が行われています。
機構側が毎年度作成している「募集案内」で、より具体的な申請方法・募集開始の時期や助成の対象となる団体・活動等を確認することができます。
助成金制度利用の申請後はそれぞれの団体(企業)が掲げる活動目標や具体的な取り組み等が地球環境基金運営員会で確認、調査・審議され、助成対象活動の認定と助成金の額が決定されます。審議で決定した助成活動は、「地球環境基金助成金交付要綱」に記載の通り申請手続きを済ませる事で助成金支給を受け取ることができます。
実際に行われた募集案内の流れを見てみましょう。
- ステップ1 募集案内公表日を確認する
- ステップ2 助成金説明会・オンライン個別相談会の開催に参加する
- ステップ3 助成金交付要望書を提出する
- ステップ4 審査が通った場合、助成金交付内定通知が届く
- ステップ5 内定団体説明会に参加する
- ステップ6 助成金交付申請書の提出
- ステップ7 助成金交付決定通知を受領する
この7ステップを終えてはじめて、助成金の交付が認定されるといった流れとなります。
3.2助成事業の評価について
ここが少し珍しいのですが、地球環境基金の助成事業は事業成果の評価が求められているため、第3者による評価が実施されます。
以下の3つの項目について評価が行われ、実施調査結果は団体にフィードバックされるようになっています。
- 事前目標共有助成活動の成果の向上
- 中間評価
- 事後評価(自己評価、書面評価、実地調査、フォローアップ、助成団体表彰制度)
「計画の妥当性」「目標の達成度」「実施の効率性」「助成活動の効果」「自立発属性」といった評価項目が定められており、助成活動の成果向上や地球環境基金事業の改善などに役立てられます。
4:地球環境基金企業協働
助成制度として「地球環境基金」を活用する事が出来るのももちろんですが、実は企業をはじめ、団体や個人などが出資者となって寄付を行う事もできます。では一体どういった仕組みなのか見ていきましょう。
4.1 寄付方法について
地球環境基金への寄付を行うことによって、環境保全活動を資金的にサポートすることが可能となります。公的法人という事で安心して参画できますし、寄付者に関連がある分野や地域を指定する事もできます。また、寄付者のプロジェクトとして公表できるといったポイントが挙げられますから、“○○活動を支援している”といったような事業者の取り組みとしても好印象です。
寄付は金融機関からも行う事ができますし、クレジットカードポイントなどからも可能です。中小企業や個人事業主であればスマートフォンやファミリーマート店内のFamiポートからも寄付が可能となっており、“寄付する側”としての活用方法もあるという点が新しい取り組みとなるのではないでしょうか。
4.2寄付詳細
寄付額は“年間1,000万円以上または300万円を3年以上継続して寄付すること”として定められています。地球環境基金に対して支援を行うと、寄付者名簿に名前が掲載されます。また、寄付内容によっては毎年、感謝状の贈呈が行われます。
なお、先ほども触れた通り機構を通じた助成活動は“地球環境基金との協働プロジェクト”として表明することもでき、具体的に以下のような活動分野に対して取り組みの支援を行う事が出来る様になっています。
- ・自然保護、保全、復元
- ・循環型社会形成
- ・森林保全、緑化
- ・大気、水、土壌環境保全
- ・総合環境教育
- ・砂漠化防止
- ・総合環境教育
- ・環境保全型農業
- ・地球温暖化防止
5:まとめ
いかがでしたでしょうか。ここでは、補助金や助成金の制度の中でも少し変わった取り組みである「地球環境基金」について紹介しました。今話題のSDGsなどの課題項目の多くにも該当する取り組みがこの地球環境基金とも関連しており、助成金の利用はもちろん、事業者の取り組みとして寄付を行う事もできるようになっています。地球環境の保護・保全に対する企業活動も重視される時代です。そういった前向きな取り組みとして公表できる新たな仕組みとして今後注目が高まってくる事でしょう。