住宅省エネ2023キャンペーンの施策の一つである「先進的窓リノベ事業」をご存知でしょうか。2050年カーボンニュートラルに向けて家庭部門からのCO2排出量を削減するための補助事業としてスタートしました。

ここでは、そんな最新制度の「先進的窓リノベ事業」について制度の概要などを紹介していきます。

1:住宅省エネ2023キャンペーン

住宅省エネ2023キャンペーン

2023年、新たにスタートした「住宅省エネ2023キャンペーン」は、多くの補助金・助成金事業の中でも消費者が直接的に恩恵を受けることのできる補助制度の一つです。では、一体どんなキャンペーンなのか見ていきましょう。

1.1住宅省エネ2023キャンペーンとは

「住宅省エネ2023キャンペーン」は、2025年カーボンニュートラルの実現に向けて家庭部門の省エネを推進するために創設された3つの補助事業の総称です。

国土交通省が担当する「こどもエコすまい支援事業」

経済産業省が担当する「給湯省エネ事業」

そして、同じく経済産業省と環境省が合同で取り組む「先進的窓リノベ事業」です。

1.2交付申請・受け取り

「住宅省エネ2023キャンペーン」は、消費者である私達が直接恩恵を受けることができる事業ではありますが、補助制度を利用するための交付申請は実際にそれぞれの事業で施工を行う事業者が行います

補助金の交付も、「こどもエコすまい支援事業」「先進的窓リノベ事業」では、交付申請を行った事業者あてに給付が行われてから、工事の発注者である個人に還元される仕組みです。「給湯省エネ事業」のみ、直接個人に補助金が交付される仕組みです。

1.3交付申請期間

「住宅省エネ2023キャンペーン」それぞれには予算が設けられており、各制度、以下の通りの上限となっています。

  • 「こどもエコすまい支援事業」1,500億円
  • 「給湯省エネ事業」1,000億円
  • 「先進的窓リノベ事業」300億円

各事業とも、交付申請期間はそれぞれの“予算上限に達するまで”と定められており、遅くとも2023年12月31日までで、予算上限に応じて締め切りは公表されるようになっています。

2:先進的窓リノベ事業

先進的窓リノベ事業

ではここからは、「住宅省エネ2023キャンペーン」の事業のひとつである「先進的窓リノベ事業」とは具体的にどういった事業なのかについて詳しく見ていきましょう。

2.1概要

「先進的窓リノベ事業」は、経済産業省としては「住宅の断熱性向上のための先進的設備導入促進事業」として、環境省としては「断熱窓への改修促進等による家庭部門の省エネ・省CO2加速化支援事業」と称されて創設されました。

予算は1,000億円で、住居の窓の断熱改修工事を対象に、実施する補助対象工事の内容に応じて一戸あたり5万円~最大200万円までの補助が受けられるような補助制度です。

「住宅省エネ2023キャンペーン」の取り組みの一つですが、対象となる工事契約期間は2022年11月8日~、遅くとも2023年12月31日とされており、予算上限に達するまでで締め切られます。

2.2補助対象工事

住宅における窓のリフォーム工事が補助対象で、高い断熱性能を持つ窓への改修工事に関する費用のうちの二分の一相当が定額補助(一戸あたり上限200万円)される仕組みです。

高性能な断熱窓(Uw値1.9以下等)へのリフォームが対象で、内窓の設置や外窓の交換・ガラス交換などの工事が対象で、同一の住宅について対象となるリフォーム工事を複数回行うことも可能です。(一つの窓に対しては1度のみの工事が申請対象です)

申請の際には対象工事に関する証明書等が必要となり、補助事業への申請が出来る事業者は登録制なので着工時には事業者登録している必要があります。

2.3対象者

補助制度の申請対象者は、個人はもちろんですがその他に事業者も対象となります。

つまり、個人が居住する戸建て住宅はもちろん、賃貸事業の大家として管理するようなアパートなどの低層集合住宅も対象となりますし、中高層集合住宅も対象です。「戸建て・低層集合住宅」と「中高層集合住宅」のそれぞれで対象となります。

申請を行うのは工事を請け負う事業者であり、先進的窓リノベ事業における「事業者登録」を済ませている必要があります。

3:対象工事の詳細

対象工事の詳細

事業の概要をつかんだところで、具体的にどのような工事が補助金の対象となるのかについて見ていきましょう。

3.1ガラス交換

既存の窓のガラスのみを取り外して、既存サッシはそのまま利用し、断熱性能の高い複層ガラス等に交換する工事です。

交換用のガラスは、窓の状況によって「汎用ガラス」「リフォーム専用ガラス」「二重窓リフォーム品」に分けられ、それぞれ性能を表す“グレードコード”というものが性能証明書に記載されています。それらと、既存のサッシ※との組み合わせによって窓の性能区分が決まり、それらの組み合わせに伴った補助額が支給されます。

※サッシの性能は「木製・樹脂製」>「金属とその他素材との複合」>「金属製」と定義されています。

3.2内窓設置

「内窓設置工事」とは、既存窓の内側に新たな窓を新設するものです。その他にも、既存の内窓を取りはずした上で、新しい窓枠に交換する工事もこれに含まれます。

窓の性能区分と内窓のサイズによって補助額が定められており、戸建住宅や低層集合住宅、中高層集合住宅といった、建て方の違いによる補助額の違いはありません。

3.3外窓交換(カバー工法)

既存の窓の外窓部分を交換する際に古いサッシの枠の内側に小さな窓を取り付ける工事が「外窓交換」と呼ばれます。

この「外窓交換」では、戸建住宅や低層集合住宅、中高層集合住宅といった建て方の違いによって補助額が異なりますので、一覧からご自身が発注する工事内容と照らし合わせて補助内容を確認すると良いでしょう。事業者にも確認しておくと安心です。

3.4外窓交換(はつり工法)

先に述べた「カバー工法」は古いサッシの枠の内側に小さな窓を取り付ける工事ですが、こちらの“はつり工法”は、既存の外窓を交換する際に古いサッシを枠ごと取り除いて新たなサッシに交換する工事を指します。

こちらも、建物の建て方の違いによって補助額が異なる点がポイントです。

4:対象製品

対象製品

各種工事を行う事で補助金の申請を行うことができますが、補助対象となる対象製品を予め検索することもできます。

「住宅省エネ2023キャンペーン」の公式HPにて、性能別に、製造・輸入業者名やメーカー名を一覧で確認することができるようになっているので、是非活用してみてください。

住宅省エネ2023キャンペーン用に登録されたものでキャンペーン専用の型番が付いているものもありますので、実際に工事を行う時に購入する各種製品が補助申請の対象となるか否かについては照合を行い確認するようにしましょう。

もちろん、施工先の事業者側に確認を依頼しても問題ありません。

5:支援事業者

支援事業者

「窓リノベ事業」では工事を請け負う事業者が申請を行いますが、この事業者は「事業者登録」を済ませている必要があります。(先進的窓リノベ事業では「事業者登録申請日」以降に着工した補助事業が補助対象となります)

事業に登録した事業者のうち、公表を希望する事業者については「住宅省エネ2023キャンペーン」のHPから都道府県別に検索することができますので事業者選びの参考にしてみても良いかもしれません。

公表されていない事業者の登録の有無については、施工を依頼する事業者に直接問い合わせを行って「窓リノベ事業」の登録事業者であるか確認するようにしましょう。

6:まとめ

先進的窓リノベ事業

いかがでしたでしょうか。ここでは、住宅省エネ2023キャンペーンのうち「先進的窓リノベ事業」の詳細について紹介しました。

既存住宅の窓を断熱性能の高い窓に交換するリフォームに対して比較的高額な補助金を受け取ることができる非常に魅力的な事業です。

対象となる工事の種類や製品についても細かく対象が定められていますので、施工を検討する際にはそれが補助事業の対象となるか否かについて事前に確認した上で契約・申請を行うようにしましょう。

詳細については「住宅省エネ2023キャンペーン」の最新情報を確認し、契約先の事業者ともすり合わせを行い、是非有効に活用するようにしてくださいね。