経済産業省、国土交通省、環境省の3省が連携して実施される「住宅の省エネリフォーム支援」が注目されています。

詳細な内容や今後の申請スケジュールについて見ていきましょう。

1:住宅省エネ2023キャンペーン

住宅省エネ2023キャンペーン

住宅省エネ2023キャンペーンとは、新たに創設された3つの補助事業による家庭部門の省エネを推進する事業です。

1.1住宅省エネ2023キャンペーンとは

「住宅省エネ2023キャンペーン」は、家庭部門の省エネを強化し、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて創設された3つの補助事業の総称です。新たに立ち上がった3つの補助事業とは以下のとおりです。

  1.  こどもエコすまい支援事業(国土交通省)
  2.  先進的窓リノベ事業(経済産業省・環境省)
  3.  給湯省エネ事業(経済産業省)

国土交通省・経済産業省・環境省の3省が連携して実施される省エネルギー化支援のための補助事業で、3事業合わせて2,800億円の予算を持ってスタートされました。

1.2住宅の省エネリフォームとは

「住宅省エネ2023キャンペーン」の主軸である“省エネリフォーム”とは、断熱性向上や高効率給湯器の導入といった対策による、省エネ住宅化への取り組みを指します。

2050年を目標に見据えている「カーボンニュートラル」は、温室効果ガスの排出を0にするというものです。「0」にする点について、排出自体を無くすことを目指すのはもちろんですが、排出せざるを得ない分については、その同量を吸収したり除去したりすることで、“実質「0」を目標にする”としています。住宅の省エネ性能を向上させることにより再生可能エネルギーを利用したり、低炭素建築物を推奨したりするなどして、カーボンニュートラルの推進を図るべく始められた取り組みです。

1.3交付申請期間

「住宅省エネ2023キャンペーン」の交付申請期間は“2023年3月下旬~予算上限に達するまで”と予定されており、遅くとも2023年12月31日までには申請終了を見込んでいます。

また、予算上限は3つの事業それぞれで異なり、それぞれの事業で予算上限の目途に応じて〆切を公表することになっています。

2:こどもエコすまい支援事業

こどもエコすまい支援事業

「住宅省エネ2023キャンペーン」の施策の一つである「こどもエコすまい支援事業」について見ていきましょう。

2.1概要

「こどもエコすまい支援事業」は、国土交通省の管轄で実施される取り組みです。

エネルギー価格高騰の影響を受けやすい、子育て世帯や若者夫婦世帯を対象とした事業で、高い省エネ性能を有する新築住宅取得や既存住宅の省エネ改修に対する支援を行う事業です。

子育て世帯・若者夫婦世帯等による省エネ投資の下支えを行う事で、2050年カーボンニュートラルの実現を図ろうという背景があります。

  • 予算:1,500億円
  • 補助対象:建築主または購入者、工事発注者

2.2対象者

「こどもエコすまい支援事業」の対象は“子育て世帯”と“若者夫婦世帯”です。

これらの世帯に認定され補助を受ける為には、定められた条件に合致している必要があります。

<子育て世帯>

申請時点において、子(年齢は令和4年4月1日時点※で18歳未満。すなわち平成16(2004)年4月2日以降出生の子)を有する世帯​

※令和5年3月31日までに工事着手するものについては、令和3年4月1日時点

<若者夫婦世帯>

申請時点において夫婦であり、令和4年4月1日時点※でいずれかが39歳以下である世帯​

※令和5年3月31日までに工事着手するものについては、令和3年4月1日時点

2.3補助額(補助上限)

  • ・注文住宅の新築購入、あるいは新築分譲住宅の購入時→1住戸につき100万円
  • ・リフォーム→実施する補助対象工事および工事発注者の属性等に応じて5万円※から60万円

※例外として、経済産業省及び環境省が実施する「住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業等(先進的窓リノベ事業)」または経済産業省が実施する「高効率給湯器導入促進による家庭部門のエネルギー推進事業費補助金(給湯省エネ事業)」において併せて1補助申請が行われている場合は、本事業における申請当たりの合計補助額が2万円以上であれば申請可能とします。(「こどもエコすまい支援事業」HPより抜粋)

3:先進的窓リノベ事業

先進的窓リノベ事業

続いて、2つ目の施策である「先進的窓リノベ事業」について見ていきます。

3.1概要

「先進的窓リノベ事業」とは、経済産業省が行う事業です。

既存住宅における窓の高断熱化を促進するべく、高断熱窓などへの改修に係わる費用の一部を補助することでエネルギー価格の高騰(冷暖房費用負担)への対応をサポートする事業です。

また、2030年度の家庭部門からの二酸化炭素排出量約7割削減(2013年度比)への貢献や、2050年ストック平均でZEH基準の水準の省エネ性能住宅の確保への貢献を目標としています。

  • 予算:1,000億円
  • 補助対象:工事発注者

3.2対象工事

「先進的窓リノベ事業」の対象は基本的に“リフォーム”です。既存住宅の窓を、より高断熱な窓に改修することで省エネ性能を向上させることが目的です。

ガラス交換だけでなく、外窓交換や内窓の設置など、高性能な断熱窓(Uw値1.9以下等)へのリフォームが補助対象となります。

補助対象は「工事発注者」となりますが、実際には工事を請け負う事業者が、予め“窓リノベ事業者(住宅省エネ支援事業者)”として登録を行った上で、交付申請等の手続きを行い、補助金の交付も受け付けます。そして交付された補助金を、本来の補助対象者(工事発注者)に還元するような流れとなります。

3.3補助額(補助上限)

実施する補助対象工事の内容に応じ、高性能断熱性能を持つ窓への改修費用の1/2相当額が定額支給となります。

一戸あたり5万円から最大200万円までの補助で、同一住宅でも別の窓に対して複数回に分けて改修を行う場合には複数回の申請が可能です。

4:給湯省エネ事業

給湯省エネ事業

「住宅省エネ2023キャンペーン」の3つめの施策である「給湯省エネ事業」について見ていきましょう。

4.1概要

経済産業省の資源エネルギー庁が担当するこの事業は、家庭のエネルギー消費のうち大きな割合を占める給湯の分野において、高効率給湯器の導入支援を行い、普及拡大させることで2030年度のエネルギー需給の見通しの達成に寄与することを目的としています。

  • 予算:300億円
  • 補助対象:高効率給湯器を設置する各種対象者

4.2対象者

高効率給湯器を設置する事業が補助制度の利用対象者であり、新築注文住宅なら住宅の建築主、新築分譲住宅なら住宅購入者、既存住宅の給湯設備をリフォームする場合には改修工事の発注者が補助対象者となります。

なお、高効率給湯器をリースにて利用する場合も補助対象となりますが、この場合対象者は給湯器の所有権を有するリース事業者となります。

4.3補助額(補助上限)

設置する高効率給湯器の種類に応じて定額が補助されます。

  • <家庭用燃料電池(エネファーム)>・・・15万円/台
  • <ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯器(ハイブリッド給湯機)>・・・5万円/台
  • <ヒートポンプ給湯機(エコキュート)>・・・5万円/台

戸建て住宅の場合は1住戸あたり最大2台まで。アパートなど共同住宅の場合には1住戸あたりいずれか1台までが上限となります。

購入や工事の場合には建築事業者(工事請負業者)や不動産売買契約の販売事業者、リフォーム工事の施業者などが登録事業者として契約者の代わりに補助金の申請手続きを代行し、交付が決定次第所定の請求手続きを経て補助金が消費者等に直接交付されます。

5:まとめ

住宅省エネ2023キャンペーン

いかがでしたでしょうか。ここでは、「住宅省エネ2023キャンペーン」について、キャンペーンの内容や対象となる3つの新規事業についてその概要を紹介しました。

それぞれの事業には専用のHPが開設されており、より詳細な情報を確認する事も出来ます。それぞれの事業で担当省も異なりますから、補助申請の期限(〆切の目安)などは各事業の最新情報を確認するようにしてください。

2023年は省エネ住宅を応援する事業が盛りだくさんです。これから新たに住宅購入を検討している方も、既存住宅の省エネ化を検討している方も、是非対象の補助事業を漏れなく活用してくださいね。