子育てに関する支援制度は、「児童手当」や「子ども医療費助成制度」をはじめ様々なものが用意されています。
ここでは、その中でも高校進学の際におさえておきたい助成制度について紹介します。
目次
1:助成制度
私たちが生活をしている中で、国や地方自治体など色々な機関から受けとる事のできる「補助金」や「助成金」「支援金」などの制度は数多く存在しています。まずはそれらの特徴について見ていきましょう。
1.1補助金とは
「補助金」とは、国や地方公共団体などが事業者や個人に対して“原則返済不要”な資金を支給する制度です。
支給を受けるためには基本的に一定の条件や申請・審査が必要となり、それらの条件をクリアした場合のみ補助金を受給することができます。
予算や申請期間が決まっており、審査後、更に抽選や先着などで受給者が決定されることもあり、申請しても100%の方が受けとれるとは言い切れない点は注意しておきたいポイントです。
1.2助成金とは
補助金と似た制度に「助成金」があります。補助金と同様に国や地方公共団体からお金が支給される制度で、こちらも“原則返済不要”です。
補助金との大きな違いは、申請の為の要件を満たしてさえいればほぼ100%、受けとることができる点です。
補助金は申請期間もあまり長くなく限られたタイミングでしか応募できないというのに対し、助成金は比較的長期間、申請期間が設けられており、前年度の助成内容が引き継がれるような継続的なものも多いのが特徴です。
1.3給付金・支援金
補助金や助成金と同じように、「給付金」「支援金」といったものも存在します。これらも“原則返済不要”で、申請をしてはじめて受け取れるものもあれば、申請しなくても受けとることができる場合もあります。
その他にも「協力金」や「義援金」といった名称の支給制度も存在していますが、それぞれに明確なルールや条件が定められているような情報はありません。国や自治体、公共団体が適宜使い分けを行っているのでしょう。
1.4奨学金
「奨学金」とは、経済的な理由から高校や大学への進学が困難な子どもに対して、その学費等を“給付”または“貸与”する制度です。
国や地方自治体が設けている制度に加え、民間や大学などが奨学金制度を設けている場合もあります。
「日本学生支援機構」は奨学金制度の中心となるような団体(独立行政法人)で、主に大学進学や、海外留学の支援、学生生活支援などを取り扱っています。
2:高校進学の支援制度
「補助金」や「助成金」について概要を把握したところで、ここからは早速高校進学の際に利用できる支援制度について見ていきましょう。
2.1高等学校等就学支援金制度
「高等学校等就学支援金制度」は、授業料に充てるための費用を就学支援金として受給することができる制度です。高校教育における「教育」に係わる経済的負担の軽減をはかることが目的とされています。
国公私立に関係なく、高等学校等に通う要件を満たす世帯※の生徒に対して、国から支援金が支給されます。「高等学校授業料無償化」と呼ばれる事もあります。
※年収約910万円未満の世帯
<在学要件>
日本国内に在住し、高等学校等に在学する方
<所得要件>
保護者等の課税標準額(課税所得額)×6%ー市町村民税の調整控除額→30万4,200円未満
(都道府県民税所得割額と市町村民税所得割額の合計が50万7000円以下)
<在学要件><所得要件>のどちらをも満たしている事が条件となります。
2.2高校生等奨学給付金
「高等学校等就学支援金制度」では“授業料に充てるための費用”を受給することができましたが、この「高校生等奨学給付金」では授業料以外※の教育費負担を軽減するための支援を受けることができます。
※授業料以外
教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費等
こちらは主に低所得世帯が対象の支援であり、「生活保護受給世帯」や「非課税世帯」が対象です。
各都道府県によって制度の詳細が異なるため、具体的な要件や給付額、手続き方法などはお住まいの都道府県に確認が必要です。
2.3家計急変への支援
保護者の失職や会社の倒産などによる家計の急変によって収入が激減して低所得となった世帯が対象です。収入の変動が就学支援金の支給額に反映されるまでの間に、就学支援金と同等の支援を受ける事が出来る制度です。
制度の詳細は、居住地ではなく「進学先(在籍先)」の学校が所在する都道府県に問い合わせが必要です。
2.4学び直しへの支援
平成26年4月以降の入学者を対象に、高等学校を中退した者が再び高等学校等で学び直しをする場合に、法律上の就学支援金期間の36カ月を経過した後も卒業までの間継続して就学支援金相当額を受け取れる制度です。(最長2年)
制度の詳細は、居住地ではなく「進学先(在籍先)」の学校が所在する都道府県に問い合わせが必要です。
3:高校生のための奨学金
先にも紹介した「日本学生支援機構」が取り扱う奨学金についても概要を見ていきましょう。
(日本学生支援機構だけでなく、国や地方自治体や民間団体、学校独自で設定している奨学金制度もありますが、ここでは「日本学生支援機構」を例として紹介します)
3.1貸与型
貸与型の奨学金は、名前の通り“返済義務”が生じる奨学金です。
高等専門学校や大学・短期大学や大学院などを対象としており、貸与型の中にも「無利息」のものと「利息あり」のものがあります。
貸与の対象者は保護者ではなく子ども本人となるため、基本的には子ども自身が学校を卒業後に返済する仕組みとなっています。
3.2給付型
貸与型に対して給付型は、返済義務が生じないタイプの奨学金です。高校生が進学の際に利用するような流れとなっており、進学前年の4月後半以降に学校を通じて日本学生支援機構に申請を行います。
4:高校でかかるお金
ここまで、色々な補助金や助成金、奨学金について紹介してきました。では、実際に子どもを高校に通わせるためには一体どの位の費用が必要なのでしょうか。平均的な例を見ていきましょう。
4.1公立高校
公立の高等学校に通った場合、通学にかかる年間総額は平均して45万円前後と言われています。
費用は大きく「学校教育費」と「学校外教育費」に分けられ、更に「入学準備金」も必要となります。細かい項目には以下のようなものが挙げられます。
<入学費用>15~20万円程度
- ・入学金
- ・制服(夏服・冬服)
- ・ジャージ(体操服)
- ・シューズ(上履き・体育館シューズ)
- ・タブレット(PC)
- ・通学用カバン
<学校教育費>30万円程度
- ・授業料
- ・学校納付金等
- ・教材費
- ・修学旅行、遠足等
- ・教科外活動(部活等)
- ・通学費用
<学校外教育費>適宜
- ・学習塾(家庭教師・家庭学習)
- ・スポーツ活動等
4.2私立高校
私立高校は、公立高校に比べてかかってくる費用がかなり高額となります。平均的なデータで、年間の学校教育費は公立高校の2倍以上(70万円程度)です。
更に、補助学習費や学校外活動費も高くなる傾向があり、少なくとも年間で100万円以上の費用は見込んでおく必要があると言えるでしょう。
5:まとめ
いかがでしたでしょうか。ここでは、高校進学で利用したい各種助成制度について紹介しました。
補助金や助成金、奨学金など、色々な種類の給付金システムがあり、窓口も色々で一体どこに何を申し込むのが良いのか悩んでしまいますよね。
制度によっては申込のタイミングが利用の1年前など、早い段階での申請が必要なケースもありますから見逃しのないように利用していただきたいと思います。
いずれの制度も必ず、最新の情報を確認して利用するように注意し、是非便利に活用してくださいね。