家庭を持ち、出産を控えて不安に思うのはやはりお金の事…。実際に出産や子育てにはいろいろなお金がかかりますが、具体的にどれだけの費用を要するのかを把握できれば少しは準備もしやすくなり安心です。

ここでは、出産に伴い受け取る事の出来るお金について解説します。しっかり理解することで安心して妊娠・出産を迎えられますよ。

1:出産費用

赤ちゃんが生まれる前にもらえるお金

出産にかかる費用には、「妊婦検診費用」「入院費用」「分娩費用」等があり、地域や出産する医療機関によって費用差があります。

令和3年度の全国平均では、出産に伴う費用は約47.3万円となっており、決して安いとは言えません。正常分娩でも30万~70万円程度と幅がありますが、多くは40万~50万円の費用が掛かります。また、出産にかかる費用は毎年約1%ずつ増加しているというデータもあり、負担が無いといえば嘘になるでしょう。

出産は人生の一大イベントです。多少お金がかかっても、安心できる環境でお産を迎えたいですよね。

2:出産育児一時金制度の概要

出産育児一時金制度の概要

出産育児一時金は、出産時には必ず利用したい補助制度です。出産にかかる費用が健康保険組合から支給される制度で、返済の義務はありません。

2.1対象者

被保険者やその被扶養者が対象です。つまり、会社で働いているママや、夫が会社で働いている専業主婦等が対象になります。妊娠4か月(85日)以上の出産(早産、死産も含む)の場合に支給されます。

2.2支給金額

支給額は子供一人当たり42万円です。双子の場合は84万円、三つ子なら126万円となります。産科医療保障制度の掛け金1.2万円が含まれており、産科医療保障制度に加入していない医療機関等で出産する場合は支給額がその分減額されることがありますので注意が必要です。なお、全国で99.9%の医療機関等はこの制度に加入しています。

2.3申請~支給の流れ

多くの場合は、出産する医療機関等から健康保険組合に申請し、医療機関等に直接支払われる直接支払制度が利用され、退院時に産院の窓口に支払う金額は補助額の42万円を超えた分だけになります。出産する医療機関等に、申請書1枚を提出するだけの簡単な手続きです。

小規模な医療機関等では支給までの期間が短くなる、“受取代理制度”が採用されることもあり、この場合は申請方法が異なるので出産予定の医療機関等の窓口で早めに確認するとよいでしょう。

2.4医療費が少なかった場合

医療機関等に支払う費用が、補助額の42万円より少なかった場合には、その差額分が支給される仕組みになっています。直接支払制度を利用した場合、出産から約3か月後に健康保険組合から医療機関等に支払いが完了したことを知らせる「支給決定通知書」が送られてきますが、それと一緒に送付される「差額申請書」を提出することで差額が支給されます。是非忘れずに申請しましょう。

3カ月よりももっと早く差額の支給を受けたい場合は、「内払金支払依頼書」を提出する必要があります。必要な添付書類は以下の通りです。

  • ・直接支払制度にかかる代理契約の文書の写し
  • ・出産費用の領収書・明細書の写し
  • ・出生が確認できるもの(申請書の照明欄に医師等or市区町村長の出産に関する証明、戸籍謄本、母子健康手帳等)

医療機関等に発行してもらうものばかりですので、忘れずに窓口で申請を行いましょう。

2.4制度の改正予定

出産にかかる費用が年々増加していることもあり、安心して妊娠・出産に臨めるよう国は令和5年度から出産育児一時金を42万円から50万円に引き上げることを決定しました。

決定事項ではありますが、実際に運用が開始されるまでは制度変更の可能性が無いとも言い切れませんので、具体的なスタート時期などは最新の情報をご確認ください。

3:ケース別申請方法

ケース別申請方法

実際に「出産」を控えた時の環境は人によって様々です。具体的な環境例を挙げ、支給の有無や申請先を確認していきましょう。

3.1本人が妊娠を機に会社を退職した場合

正社員・派遣社員など、雇用形態を問わず、妊娠・出産を機に会社を退職される場合もあると思います。この場合、退職日までに健康保険組合への加入期間が継続して1年以上あり、退職の翌日から6か月以内の出産であれば、在籍していた会社が加入している健康保険組合から出産育児一時金が支給されます。

加入期間が不足しているケースや、退職後6か月以上経過後の出産となった場合には勤務していた会社の健康保険組合からは支給されません。出産時点で夫の扶養に入っていれば、扶養者の加入している健康保険組合に申請をすることになります。退職する場合は、それまでの勤務期間や出産予定日までの期間を確認しておきましょう。

3.2夫が転職した場合

被保険者である夫が退職した場合、そのタイミングによって一時金を受け取れるか否かが異なります。状況別に確認しておきましょう。

夫の退職前出産した場合

夫が会社を退職する前に出産した場合は、退職後2年以内であれば勤めていた会社に申請が可能です。申請の際に必要になりますので、加入時の保険証の記号や番号、健康保険組合の連絡先は必ず控えておきましょう。

夫の退職後、求職中に出産した場合

被保険者である夫が退職して、求職中に出産した場合は申請要件を満たす健康保険組合がないため、出産育児一時金は支給されません。全額受け取れない為、完全に実費精算となります。求職期間が長引く場合には、妻のみでも国民健康保険に加入するなどの手続きを行いましょう。

夫が転職した直後に出産した場合

新しい会社に就職した直後の出産となった場合、「扶養認定日」より前の出産となってしまうと出産育児一時金が支給されません。その為、転職後は扶養認定日がいつになるかよく確認し、手続きを速やかに進めましょう。

3.3未婚の場合

未婚の場合でも出産育児一時金は支給されます。ご自分の加入している健康保険に申請することになります。会社に勤務している場合は会社の健康保険組合に、親の扶養に入っている場合は親の加入している健康保険組合に、その他個人事業主など、国民健康保険に加入している場合も、それぞれ該当機関に申請を行いましょう。

3.4生活保護を受けている場合

生活保護世帯や低所得による非課税世帯で、健康保険に加入されていない場合は残念ながら出産育児一時金が支給されません。しかし、生活保護世帯のための「出産扶助」、「入院助産院制度」等がありますので、そちらを利用しましょう。

3.5海外で出産した場合

海外で出産した場合も、出産育児一時金を申請することができます。健康保険出産育児一時金支給申請書に以下の添付書類が必要になります。

  • ・出産を担当した海外の医療機関等の医師・助産師の証明書(外国語で記載されている場合は和訳)
  • ・和訳した場合は翻訳した方の署名、住所、電話番号
  • ・実際に海外で出産した日に渡航していた事実が確認できる書類(パスポート、ビザ、航空チケットの写し等)
  • ・出産した医療機関に問い合わせを行うことに関する本人の同意書

3.6国民健康保険料が未納の場合

国民健康保険では、特別な事情がないのに保険料を1年半以上滞納している場合は、保険給付の全部又は一部を一時差し止められてしまいますが、出産育児一時金は、この一時差し止めの対象から除外されていますので、出産育児一時金が減額等されることはありませんので安心してください。とはいえ出産後も何かと医療費はかかりますから、未納状態が長引くのは好ましくありません。

4:出産、育児に関連してもらえるお金

出産、育児に関連してもらえるお金

ここまでは出産育児一時金制度について紹介してきましたが、その他にも出産や育児の際にもらえるお金や、逆にお金を払わなくていいといった費用免除制度が用意されていますので簡単に紹介します。

  • ・産休中のお給料を補填する出産手当金
  • ・育児休業中の給料を補填する育児休業給付金
  • ・中学校卒業までもらえる児童手当
  • ・医療費を負担してくれる医療費助成制度   …等

このような制度が設けられていますが、医療費助成制度はお住まいの自治体によって助成される機関や金額が異なる場合もあり注意が必要であるという点を覚えておいてくださいね。

5:まとめ

出産育児一時金

いかがでしたでしょうか。「出産育児一時金」は、出産にかかる費用として42万円が支給される制度です。自分の申請先をよく確認し、確実に受け取れるように忘れずに申請を行うようにしてくださいね。その他にも、出産・育児に関連してお金の支援を受けられる制度が多数あります。制度を理解し、国などからもしっかりと費用面でのサポートをしてもらえれば、経済的な安心材料を持って出産・子育てに臨む事ができるのではないでしょうか。是非、利用時には最新の情報を確認し、漏れがないように申請を行ってくださいね。