国や自治体では多種多様な補助金、助成金事業を行っていますが、その中にはエコや省エネ設備の購入を対象とする制度があることをご存じでしょうか。今回の記事では、エコや省エネ設備の購入時に使える補助金・助成金を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

1 省エネルギー投資促進支援事業費補助金(高効率コージェネレーション)

省エネルギー投資促進支援事業費補助金

省エネルギー投資促進支援事業費補助金は、省エネ設備の中でも「高効率コージェネレーション(ガスエンジン式、燃料電池式)」設備への投資を対象とするものです。経済産業省が管轄で一般社団法人都市ガス振興センターが執行をしています。

対象者は、国内で事業を営んでいる法人や個人事業主です。この事業の目的は、省エネルギー設備への投資やエネルギー管理の適正化等を推進するべく、産業部門等において高性能の省エネ設備への推進を行い、燃料・電力の消費抑制を促進してエネルギーコストの削減を行う制度です。

この補助金は2つの事業を支援しています。その1つは、国内の既存の(既に事業活動を行っている)工場・事業場等に、現在使用中の設備よりも当補助金の基準を満たすエネルギー消費効率等の高い設備に更新するための事業です。

もう1つは、既存設備やシステムを置き換えること、または製造プロセス改善等の改修を行って省エネルギー化を図るための事業となります。なお、新設工場や新規事業への設備投資や故障等により稼働していない設備の更新、住居用途としての事業場は、事業の対象外となります。

補助対象の経費は補助対象設備の設備費のみです。設計費や運搬費、材料費、据付費、工事費等のその他の補助経費は対象外となります。

補助金額は、設備区分毎に設備の能力に基づいた下記の数式に基づいて算出した定額となります。上限額は年度あたり1,200万円、下限額は年度あたり20万円です。

・補助金額=補助対象設備の能力(kW)×能力当たりの補助金額(円/kW)

公募期間は令和4年3月18日〜5月11日まで、交付決定時期は令和4年5月下旬、事業期間は交付決定日から令和4年2月28日までとなっていました。なお、交付決定前に契約や発注等を行っていた場合は無効となります。

上記の事業期間中に発注と設置、検収、そして支払いを行い、事業完了日から30日以内または令和4年2月28日までに実績報告書を執行団体に提出しなければいけません。そして、事業完了後90日以内に執行団体に補助事業の成果を報告することになります。

2 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(バッテリー交換式EVとバッテリーステーション活用による地域貢献型脱炭素物流等構築事業)

二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金

この補助金事業は、環境省管轄である公益財団法人北海道環境財団が執行団体の制度です。当事業の目的は、二酸化炭素排出抑制となる車両を導入し、再生可能エネルギーの受け皿としての役割と、社会にストレージインフラを浸透させていくことにあります。

申請できる対象者は、民間企業、地方公共団体、個人事業主、その他環境大臣の承認を得て財団が認める者であり、大きく次のA、Bの2区分に分けられます。

A 物流・配送等×エネルギーセクターカップリング型ビジネスモデル検討を行う事業<マスタープラン策定事業>
B 地域貢献型脱炭素物流モデル構築支援事業<モデル構築支援事業>

Aのマスタープラン策定事業とは、物流・配送等とエネルギーの2つをカップリングした、地域貢献型脱炭素型物流モデルの構築に向けたマスタープラン策定を行う事業です。

また、Aの事業には細かい申請要件があります。例えば、配送等のサービス業等の車両をバッテリー交換式とすることでエネルギーマネジメントを行い、脱炭素型物流モデルの構築と物流・配送拠点等の防災拠点化を同時に実現するためのマスタープランを策定するという項目です。

要件には他にも、災害発生時に当該設備の交換式バッテリーが地域の非常用電源として機能する等地域貢献が図られる事業であること、またはその見込みがあること等があります。

Aにおける補助金対象となる経費は、人件費及び業務費(賃金、社会保険料、旅費、通信運搬費、消耗品等)であり、補助率は対象経費の4分の3となります。交付額の上限は2,000万円です。公募実施期間は令和4年9月8日〜令和4年9月30日となります。

Aにおける過去の審査ポイントには、マスタープランの先導性、プラン事業化の実現性、二酸化炭素排出量の削減効果、災害時の地域貢献の妥当性、地域における防災上の位置づけ、マスタープランの検討項目やスケジュール、実施体制、資金計画の妥当性等があります。

Bのモデル構築支援事業とは、地域の特性に応じて最適化された脱炭素型物流モデルを構築し、その実現に必要な設備等の導入を行うものです。Bの事業に求められる要件は基本的にAと同じ内容となります。

Bの対象となる設備には、バッテリー交換式配送車両やバッテリーステーション、交換用バッテリー、再生可能エネルギー発電設備、自営線、事故検知設備、遮断設備、エネルギーマネジメント機器等があります。

Bにおける補助金対象となる経費は、事業を行うために必要な工事費や設備費、業務費、事務費等です。補助率は補助対象経費の2分の1で、交付額の上限は2億円です。公募実施期間は令和4年9月8日から令和4年12月9日となります。

Bの過去の審査のポイントには、構築する脱炭素物流モデルの先導性、災害時における当該施設の設備稼働の確実性プラン事業化の実現性、災害時における地域貢献の妥当性、地域における防災上の位置づけ、平常時の導入車両、バッテリーステーション等の活用方法、二酸化炭素排出量の削減効果等があります。

3 空港脱炭素化推進事業費補助金

空港脱炭素化推進事業費補助金

空港脱炭素化推進事業費補助金は、国内の全空港の空港管理者と空港内の事業者及びその他民間事業者を対象とした、空港の脱炭素化推進の取り組みに対するものです。国土交通省が管轄となります。空港建築施設の省エネ化に係る事業、空港車両のEV・FCV化に係る事業、太陽光発電等の再エネ導入に係る事業の3つの事業を支援します。

a. 使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
b. 補助金交付決定後に、契約・発注により発生した経費
c. 証拠書類・見積書等によって契約・支払金額が確認できる経費

補助率は上記の補助対象経費に2分の1を乗じた金額内です。応募は1空港につき事業者ごとに1件となり、それぞれの応募ごとに事業計画書を提出することになります。

審査や評価の観点は、申請書(事業計画書)に基づいて、事業内容と補助事業の目的との整合性や事業の必要性・効果、概算事業費及びその内訳の妥当性、事業期間の妥当性、事業の公共性・公益性、地域連携・レジリエンス強化の取組の有無、空港管理者等の関係者との合意形成から判断されます。

応募期間は、令和4年5月9日〜令和4年6月17日となっており、応募結果は令和4年8月下旬から9月上旬に通知されました。採択された事業者は受理後に事業に着手し、実績報告書の提出を行って書類審査・現地調査等を経た後に、補助金額の確定となります。

以上、今回は、エコや省エネ設備に使える補助金や助成金制度をご紹介しました。エコ関連の設備投資を検討している方は、上記を含めた制度を確認してみてください。