何か事業を始めたい時にはある程度まとまった資金が必要になります。その際には銀行からの融資を受けるというのがオーソドックスな資金調達方法ですが、その他にもよく利用されるのが「補助金」や「助成金」の仕組みです。

ここでは、起業家が知っておきたい「補助金」や「助成金」について紹介していきます。

1:補助金・助成金

補助金・助成金

実は日本には、補助金や助成金の種類は数百~数千種類もあると言われています。国の施策もあれば地方自治体の施策もありますし、団体や学校が扱うものなど、本当に色々な種類の補助・助成制度が存在しているのです。

まずは、補助金や助成金のシステムの基本について知っておく事が大切です。

1.1補助金・助成金の魅力

「補助金」「助成金」とは、公益上必要があると政府が判断した直接的、間接的な事業等に対して交付される金銭的な給付金のことを言います。最大の魅力は、銀行融資等と違って“原則返済不要”であることです。

事業を始める際に融資を受けて資金調達を行ったとして、事業が軌道に乗ってきても最初の融資額を完済まで返済し続けなければなりません。

しかし補助金や助成金なら活用した分の返済は不要であり、起業をする上での大きなサポートとなります。

1.2助成金と補助金の違い

「補助金」や「助成金」について調べていると、一体どちらにどのような特徴があって何が違うのか、イマイチわかりにくいと感じる事もあるかもしれません。

確かにどちらも“条件に合えば給付を受けることができる”“返済は不要”という点で同じではありますが、具体的にはそれぞれ以下のような特徴があります。

<補助金>

  • ・条件を満たすことで申請が可能
  • ・申請期間が短い
  • ・予算が決まっているので審査が細かく、厳しい
  • ・申請しても認定されずに受給を受けられない場合もある
  • ・給付までに時間を要する
  • ・募集先は主に経済産業省や地方自治体

<助成金>

  • ・条件を満たすことで申請が可能、申請すればほぼ100%受給することができる
  • ・申請期間が長く、申請数の上限には余裕がある
  • ・人気の助成金は予告なく早期終了する場合もある
  • ・募集先は主に厚生労働省や地方公共団体

主に、雇用に関するものが「助成金」それ以外が「補助金」という分け方がわかりやすいと言えるでしょう。特に補助金は、募集が開始されてから受付終了までの期間が短いものも多く、新しい制度もどんどん出てくるので随時最新情報の確認が必要です。

1.3交付金

「補助金」「助成金」と同様にチェックしておきたいのが「交付金」です。「給付金」と呼ばれることもあり、これも基本的に国や地方自治体といった返済不要の金銭的給付です。

交付金は金額の幅も広く、募集期間が長いのも特徴です。また、補助金や助成金が企業を対象にした種類が多いのに比べて交付金(給付金)は個人でも申請できるものが多い点も魅力です。これから起業したいという方がまず申し込むのにも条件をクリアしやすいと言えるでしょう。

2:起業向け補助金・助成金

起業向け補助金・助成金

「補助金」「助成金」や「交付金(給付金)」などのそれぞれの特徴について紹介ましたが、ここからは実際に起業の際に活用したい補助金や助成金について具体的に紹介していきます。

2.1経済産業省系

主に起業促進や地域活性化、中小企業振興といった施策をメインにしている経済産業省系の受給制度の代表例を見ていきましょう。

<ものづくり補助金>

中小企業や小規模事業者が革新的なサービス開発や試作品の開発を行うための補助を目的とした支援です。設備投資なども対象となり、補助金額も比較的大きいのが特徴です。

国が今後進める、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げといった労働環境に関わる制度変更への対応もサポートします。補助額や補助率を決定するための「枠」がいくつも設けられており、応募の際には公募要件をしっかりと確認する必要があります。

<事業再構築補助金>

予算総額が1兆円という非常に規模の大きな施策です。コロナ禍で既存事業の経営が難しくなった方などを対象に新規事業へのチャレンジをサポートする補助金として話題になりました。申請には事業計画書というものを提出しますが、この事業計画書は金融機関や税理士のサポートを受けながら作成することもできるので、これから新しいジャンルの事業を始めたいという方にはぴったりです。

<IT導入補助金>

企業のDX導入が注目され、デジタルへの取り組みが必須とされる現代には非常にマッチした制度です。生産性を向上するためのITツールの導入に対して補助される制度であり、支給上限は450万です。“デジタル化”や““自動化”などによる働き方改革の促進や労働環境の向上といったIT導入を推進するための補助金です。

<小規模事業者持続化補助金>

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が地域の商工会のサポートを受けながら経営計画を作成することができ、売り上げアップのための販路開拓や業務効率UPなどの取り組みについて支援を受けられる制度です。

現状で“小規模事業者”であることが前提となるので、ゼロからの起業というよりは既存事業を活かした新規事業の立ち上げ時に活用するイメージです。

小規模事業者は、商業やサービス業で5人以下/宿泊業や娯楽業で20人以下/製造業その他で20人以下となっています。

2.2厚生労働省系

厚生労働省系の補助金・助成金は雇用促進や労働者のキャリアアップといった施策を目的としています。「助成金」の施策が多いので申請も難易度は低めですし、要件を満たしていることさえ確認し、申し込みさえすれば比較的採択されやすいと言えます。

<キャリアアップ助成金>

有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者などの“非正規雇用労働者”を企業内でキャリアアップさせるための助成金です。

「正社員化コース」や「人材育成コース」「処遇改善コース」など、全部で7つのコースに分かれています(2022年12月現在)

コースによって条件はもちろん、支給額(支給率)も異なりますが、例えば有期雇用者を正社員雇用した場合には一人当たり57万円が支給されるといったような、非正規雇用労働者のキャリアアップのための助成金です。

既存で何か事業をされている方が新たに事業を開始するなどで既存の雇用労働者に対するキャリアアップ支援を行う場合に利用することができます。

<雇用調整助成金>

雇用調整助成金は新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例型の助成金です。コロナ禍において事業の縮小を余儀なくされた場合に、従業委員の休業等を行い、それに伴う休業手当等を支給する企業がその費用の一部を助成金として受け取ることができる制度です。

助成対象者は、雇用保険被保険者以外のアルバイトも含まれますので、起業後であれば各種雇用形態の従業員に対してでも申請が可能です。

<人材確保支援助成金>

従業員の働きやすさを重視した職場環境の構築を促進するための助成金がこの「人材確保支援助成金」です。

  • ・諸手当制度
  • ・健康づくり制度
  • ・研修制度
  • ・メンター制度
  • ・短時間正社員制度

↑これら5種類の項目に分かれておりそれぞれ助成内容が異なりますので、申請時にはそれぞれの詳細をチェックするようにしましょう。

2.3その他

「経済産業省系」や「厚生労働省系」の補助金・助成金について紹介してきましたが、その他の主な制度についても触れておきます。

<自治体>

市町村などのレベル感で、各自治体が地域の産業振興などの目的で操業支援補助金や助成金を実施しているケースも多くあります。

補助金や助成金の内容、要件、金額はそれぞれの案件により様々であり、全ての市町村で実施されている訳ではない点にも注意が必要です。

申請先は自宅の住所がある自治体ではなく、会社を企業した際にその拠点となる自治体となりますので、起業前には該当の市町村に予め募集要項等を確認しておくと安心です。

<企業・金融機関など>

国や地方自治体以外にも、もっと小規模な団体のレベルでも独自に補助金や助成金の制度を設けている場合もあります。特に、起業家向けの制度も多くあり、ある程度のビジネスプランが固まっていれば応募してみても良いかもしれません。

3:「補助金」「助成金」のメリット・デメリット

「補助金」「助成金」のメリット・デメリット

新たに事業をスタートさせる際に是非チェックしておきたい補助金・助成金について人気の制度を紹介してきました。

では改めて、補助金や助成金を活用する上で知っておきたいメリットやデメリットについても確認しておきましょう。

3.1メリット

補助金や助成金を利用するにあたって最も大きなメリットはやはり「返済不要」ということです。事業を開始する際、多くの場合は銀行からの融資を受けますが、お金を“借りている”に過ぎないのでいずれ返済しなくてはなりません。補助金や助成金なら基本的には返済の義務がないので、そういった負担を抱えずに受給した分を事業に役立てることができます。

3.2デメリット

補助金や助成金を受給する上で最も懸念されるデメリットは、“受給費用を欲しい時に受け取れない”という点です。これはどういう事かというと、補助金も助成金も基本的には「後払い(事後支給)」なので、申請後すぐに受給額分の入金がある訳ではなく、それぞれの補助金・助成金の募集条件を事業として達成して初めて受給対象として認定され、その後に定められた額の受給を受けることができる仕組みであるためです。

もちろん、施策の実施先により給付条件は様々ですから、利用予定の制度の詳細は予め確認しておきましょう。

4:まとめ

新たに事業を始める方向けの補助金・助成金について

いかがでしたでしょうか。ここでは、新たに事業を始める方向けの補助金・助成金について代表的なものを紹介しました。

補助金や助成金は、取り扱っている機関も様々でその種類も色々です。受付期間はもちろん、要件などが細かく更新されているケースもありますので、ご自身が立ち上げる事業にマッチした要件を定めている制度を選んだら、必ずその時点での最新の情報を取り扱いの機関に直接確認するようにしましょう。是非、活用できる制度を上手く利用して今後に役立ててくださいね。