中小企業子ども・子育て支援環境助成事業「くるみん助成金」をご存知でしょうか。内閣府所管助成事業であり、中小企業の事業主に対して交付される助成金です。
この「くるみん助成金」について詳しく紹介していきます。
目次
1:くるみん助成金とは
「中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業」は、従業員に対する育児休業等を促進するなどして、子ども・子育て支援に対して積極的に取り組みを行う事業を支援するものです。
この事業支援として設定された助成金の仕組みが「くるみん助成金」です。
くるみん助成金における“取り組みを行う支援”とは、助成金を受け取ってその助成金を使って施策を講じるのではなく、子育て支援環境整備事業を促進するような取り組みを実施した上でその取り組みが認定されたら助成金を受けとる事ができるといった流れです。
2:くるみん助成金の概要
くるみん助成金は、事業主が「中小企業子ども・子育て支援環境整備事業」を実施するにあたり、その整備事業に要する経費を対象として助成金を受給することができる仕組みです。
2.1対象事業主
- ・子ども、子育て支援法に規定する一般事業主
- ・前年度または当年度(助成申請期間の末日までに)に「くるみん認定」「くるみんプラス認定」を受けている企業
※前年度の3月31日時点で「くるみん認定」「くるみんプラス認定」、その他「プラチナくるみん認定」「プラチナくるみんプラスm認定企業」も対象となります。(トライくるみん認定は対象外)
2.3対象になる事業・経費
くるみん助成金の支給対象となる事業は、中小企業(常時雇用する労働者が300人以下)において労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な整備等の取り組みです。
- 労働者の育児休業等の取得を促進するための取組
- 労働者の子育てを支援するための取組
- 労働者の業務負担の軽減や所定外労働の削減などを図るための取組
- その他労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な取組
これらのような取り組みの実施に加え、
- ・使用目的が事業の遂行に必要なものと明確に特定できるもの
- ・助成を受ける年度に実施し、完了報告期日までに支払いが完了する事業
上記のような経費が支給判定の対象となります。
2.4助成金額
くるみん助成金に申し込みを行うと、審査によってその助成額が決定されます。なお、申請には受付期間が定められており、「くるみん認定」の種類によって“1回の認定につき1回”あるいは“1年度毎に1回”となります。
いずれの場合も1回の助成額の条件は50万円です。
3:くるみん認定
そもそも、くるみん助成金を受ける為に必要な「くるみん認定」とは一体どのようなものなのでしょうか。くるみん助成金の申請を行う前にまずは「くるみん認定」について確認してみましょう。
3.1くるみん認定とは?
「くるみん助成金」を受け取るための条件である「くるみん認定」とは、“子育てサポート企業”として厚生労働大臣から認定をけることができるものです。
「次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、申請を行うことによって「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けることができます。(厚生労働省HPより抜粋)」
※次世代教育支援対策推進法とは、日本における少子化の進行に対応し、次の時代の社会を担う子どもたちの健全な育成を支援するために国や地方公共団体・企業が策定すべき行動計画を言います。
3.2くるみんマーク
くるみん認定企業になると、厚生労働大臣のお墨付きを得たことの証明として「くるみんマーク」が発行されます。
認定企業の中でも特に優良な子育てサポート企業であることを証明されるのが「プラチナくるみんマーク」です。通常のくるみん認定を受けた上で、更に高い水準の取り組みを実施し、特例認定基準を満たした上で都道府県労働局に申請することでこの「プラチナくるみんマーク」を使うことができるようになります。
3.3くるみん認定を受けるメリット
くるみん助成金を申請する前段階のステップとして必要なのが“くるみん認定を受けること”ですが、認定されるのには書類の提出なども必要ですし少し手間に感じることもあるかもしれません。しかし企業が「くるみん認定」あるいは「プラチナくるみん認定」を受けることにはいくつものメリットを期待することができます。
<社員満足度の向上>
くるみん認定の基準には残業や休日出勤の抑制、年次有給休暇の取得などが含まれます。認定申請にあたってはすべての従業員が働きやすくなるような環境整備が行われるので、社員満足度を高めることができると言えるでしょう。
<公共調達おける加点評価>
国などが発注して税金等を使用して実施される契約を「公共調達」と呼びますが、くるみん認定企業となることでこの公共調達における加点評価を受けることができ、国の発注案件を勝ち取ることができる可能性が高くなります。なお、加点通評価高は常のくるみん認定企業よりもプラチナくるみん認定企業の方が高くなります。
<人材確保・定着>
くるみん認定企業に認定された会社の名前は厚生労働省のHPに公表されます。また、自社の求人情報にも「くるみん認定」を受けているということを記載できるので、国から認定された“働きやすい企業”であることを公表でき、優秀な人材も集まりやすくなります。実際の勤務環境が整っていることで定着率も高まり、人材流出を防ぎ採用コストを抑えることにもつながります。
4:「くるみん助成金」の申請から交付まで
「くるみん認定」を受けることでどのようなメリットが期待できるかがわかりました。では実際にくるみん助成金を受給するめの申請から交付までの流れを見ていきましょう。
- くるみん認定の取得
- 申し込み書類の準備(くるみん助成金ポータルサイトの申し込みフォームを利用)各種提出書類を準備・提出。
- 提出済みの「事業計画書」に沿って事業を実施する
- 事業完了後、完了報告書を準備・提出する
- 完了報告書をもとに審査の上、交付額が決定され交付額確定通知書が発送される
- 交付額確定通知書を受領後、ポータルサイトから請求書兼講座振替依頼書を提出
- 助成金の振り込み
5:くるみん助成金のメリット
くるみん助成金を申請して助成金の支給を受けられることで、中小企業でも子ども・子育て支援に対して積極的に取り組みを行うきっかけに繋がります。
また、くるみん認定を受けた企業が日本政策金融公庫の「働き方推進支援金(企業活力強化貸付)」を利用する場合には、一定の要件を満たせば基準利率よりも引き下げ利率で利用することができます。
くるみん認定を受ける事で交付される「くるみんマーク」を企業のHPなどに表示することで、働きやすい環境整備を行っており、生活支援を積極的に行っている企業であることのPRにもつながります。
6:まとめ
いかがででしたか。ここでは、特に中小企業が押さえておきたい助成金「くるりん助成金」について紹介してきました。
補助金や助成金は様々なものが出ていますが、その中から自社にマッチした助成金を見つけて応募するのはなかなか大変なことでもあります。そんな中でも、子ども・子育て支援はこれからも注目される事業取り組みですから、是非このような助成金を上手く活用し、事業の取り組みにお役立ていただければと思います。