DX(デジタル変革)に関する取り組みが各企業で進められています。時代の流れに乗り遅れないように、DXを推進していきたいと考えている企業は多いでしょう。しかし、資金を十分に調達できず、DXに着手できない企業も少なくありません。

そのような手元に資金のない企業の助けになるのが「補助金・助成金」です。国や自治体は、DX関連の補助金や助成金を用意しています。上手に活用すれば、コストを抑えてDX推進に取り組むことが可能です。

本記事では、DXの概要や、DX推進で活用できる補助金・助成金について解説します。DX推進のために補助金・助成金の利用を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

1 DXの概要

DXの概要

DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略称で、「デジタル技術を活用し、新しいビジネスモデルを生み出す」ことと定義されています。具体的には、企業が「AI」「ビッグデータ」「IoT」などのデジタル技術を使うことで、新しいビジネスモデルや、企業変革の実現を目指すことを差します。

また、DXは新しいデジタル技術の利用やサービスを作るだけではありません。ユーザーに新しい価値を提供することで、競合他社と差別化し、優位性を確立できる効果も期待できます。

1-1 DXを実現するために必要な取り組み

DXを実現するために必要な取り組みは、企業や業種によって異なりますが、基本的には下記の取り組みが必要だと言われています。

  • ・業務のデジタル化
  • ・ビジョンの共有
  • ・失敗をおそれないマインドセットの構築
  • ・DX人材の育成・確保
  • ・社内の協力体制の構築

DXを実現するためには数多くの課題がありますが、補助金・助成金を有効活用し、課題をひとつずつ解決していきましょう。

参考:経済産業省「DX推進指標とそのガイダンス

1-2 DX推進のために必要な費用

DXを推進するには、多額の資金が必要になります。DX推進のために必要な費用は下記の通りです。

DX推進のために必要な費用

  • ・DX人材育成のための教育費
  • ・企画・開発費
  • ・広告費
  • ・コンサルティングを依頼する経費
  • ・社内の協力体制を築くための構築費

ただし、必要な費用もケース・バイ・ケースです。例えば、チャットツールやクラウドサービスを利用すれば、初期費用や運用コストを大きく抑えることも可能なので、自社でDXを推進していくのに適切な費用を把握することが大切です。

2 DX推進で活用できる補助金・助成金の種類

DX推進で活用できる補助金・助成金の種類

ここでは、DX推進で活用できる補助金・助成金の種類について解説します。補助金・助成金も種類が多くて、なにがDX推進に適しているかわからない方も多いでしょう。自社のDX推進で使えそうな補助金・助成金をチェックしてみてください。

DX推進で活用できる補助金・助成金の種類は下記の通りです。

  • ・IT導入補助金
  • ・ものづくり補助金
  • ・事業再構築補助金
  • ・小規模事業者持続化補助金
  • ・働き方改革推進支援助成金

順番に解説していきます。

2-1 IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者のITツール導入を、経費の一部として補助する制度です。ITツールを導入することで、業務効率化や売上UPにつなげてもらうことを目的としているため、デジタル変革を目指すDXと相性も良いのが特徴です。

補助対象者 中小企業・小規模事業者
補助上限額(通常枠) 上限額:150~400万円
補助率 1/2以内
対象経費 ソフトウェア購入費・クラウド利用料(1年分)・導入関連費

参考: 一般社団法人 サービスデザイン推進協議会「IT導入補助金2022 事業概要

2-2 ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が取り組むサービス開発や、生産過程の改善を実施するための設備投資などを支援する補助金制度です。補助金額の上限が大きいのが特徴で、最大上限である「グローバル展開型」は、上限額が3,000万円になります。

補助対象者 中小企業・小規模事業者
補助金額(デジタル枠) 従業員数5人以下:100~750万円
6~20人:100~1,000万円
21人以上:100~1,250万円
補助率 2/3
対象 機械装置・システム構築費・技術導入費・クラウドサービス利用費・外注費など

参考:全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領

2-3 事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、事業転換、事業再編などの取り組みを支援する補助金制度です。

この制度が誕生したきっかけは2020年2月頃より急速に広まった「コロナウイルス」であり、コロナウイルスが長期化した影響で、早急に需要や売上の回復を期待するのは厳しくなりました。

経済社会がウィズコロナの時代に適応するために、新事業の展開、事業転換などといった事業再構築を目指す中小企業などを支援することを目的としています。

補助対象者 中小企業
補助金額 従業員数20人以下:100~2,000万円
従業員数21~50人:100~4,000万円
従業員数51~100人:100~6,000万円
従業員数101人以上:100~8,000万円
補助率 中小企業者:2/3
中堅企業:1/2
対象経費 建物費・システム構築費・技術導入費など

参考:中小企業庁「事業再構築補助金 公募要領

2-4 小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、販路拡大の取り組みや、業務効率化などの取り組みを支援することを目的とした補助金です。多くの枠があるのが特徴で、インボイス制度の導入により2022年から「インボイス枠」も含めた6種類の枠があります。

補助対象者 小規模事業者・個人事業主
補助上限額(通常枠) 50万円
補助率 2/3
対象経費 機械装置費・広報費・ウェブサイト関連費など、販路の拡大や業務効率化に取り組むための経費

参考:商工会議所地区「小規模事業者持続化補助金 公募要領

2-5 働き方改革推進支援助成金

働き方改革推進支援助成金とは、「時間外労働の削減」や「有給休暇の促進」に向けた環境整備に取り組む中小企業を支援する助成金制度です。業務効率化の改善に資する設備や機器の導入が対象になるので、DX推進にも活用できます。

助成対象者 中小企業
助成上限額(成果目標1) 50~150万円
補助率 3/4
対象経費 会議費・広告宣伝費・印刷製本費・備品費・機械装置等購入費など

参考:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金」「働き方改革推進支援助成金支給要領

3 まとめ

DX推進で活用できる補助金・助成金

DX推進で活用できる補助金・助成金について解説しました。DX推進を行うためには、多額の資金が必要になります。補助金・助成金は、DX推進に取り組む上で重要な資金源です。

補助金の申請は審査があるので手間がかかりますが、多額の資金を集められる貴重な機会です。本記事で得た情報を役立てて、ご自身に最適な補助金・助成金を見つけるきっかけにしてみてください。